2016年10月28日金曜日

3万円が380万円に(判決、伊奈町、戸田市ほか)


平成28年(わ)第404号等

村山 一輝

詐欺、詐欺未遂、窃盗

【判決】
懲役3年6月、未決勾留日数のうち120日をその刑に算入する

不正に入手した(裏面に暗証番号が記入された)キャッシュカードを用いて、現金を引き出した(板橋区、伊奈町)2件の窃盗事件と調布市、戸田市で高齢女性宅へ親族の苦境を騙って現金を受け取りに行った特殊詐欺事件2件の合計4件の事件です。
戸田の事件で被害者が預金を下ろそうとしたところ、滝野川信用金庫の職員が詐欺被害に気付き警察に通報し、被告人が確保された様です。

被告人は何れも現金を引き出す仕事、荷物を受け取りに行っただけだと犯行を否認していました。
現金引き出し時のATM防犯画像にマスク着用で容貌を隠した被告人の姿が残っている事について、「肌荒れがひどかった」と弁解していました。

【捨て駒】
現金の引き出し役である「出し子」は防犯カメラに容貌を曝してしまうこと、現金受け取り役の「受け子」は本件の様に通報を受け、現行犯で逮捕される可能性が高く、いずれもリスクが高い仕事です。
にもかかわらず、被告人の供述によれば一件あたりの本件報酬は1万円程といいますから、4件のうち3件の既遂事件被害額380万円の賠償責任をわずか3万円の報酬で負ってしまった事になります。
報酬額は詐取金の10%程度の場合も有りますから、本件では詐欺組織の上位者に足下を見られていると言えるでしょう。

被告人が服役している間に賠償義務が自然消滅する事はありませんから、知っている限りの詐欺組織の情報を提供し、のこり377万円の行方を知る上位者が逮捕される事を祈るしか無い様です。

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